研究課題/領域番号 |
04555101
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福地 信義 九州大学, 工学部, 教授 (80039677)
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研究分担者 |
木原 和之 三菱重工業長崎造船所, センター長
土井 康明 広島大学, 工学部, 助教授 (10134454)
若菜 啓孝 九州大学, 工学部, 助手 (00167082)
篠田 岳思 九州大学, 工学部, 助教授 (80235548)
小川原 陽一 九州大学, 工学部, 教授 (20214033)
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キーワード | アルミ合金 / 溶融 / 火災伝播 / シミュレーション / 防熱構造 / 防火対策 / 等価性評価 / 遅延効果 |
研究概要 |
軽量構造船は構造材がアルミ合金であるため火災時には溶融、発熱燃焼が起こる危険性があり、軽量構造船特有の防火対策が不可欠である。また、軽量化のために重い防水構造に替わる種々の代替装置が防火対策として等価な効果をもつことを判定する必要がある。このため、本年度はアルミ合金の船における火災伝播現象のシミュレーションのための現象支配方程式確立と計算法の構築を行い、これにより単胴高速船の火災伝播シミュレーションを行った。主な研究成果は次の通りである。 (1)防熱材厚さと火災伝播の遅延効果 3層甲板の区画モデルについて防火壁の厚さを変えて計算を行い、室内空気温度、壁体温度等の変化、各区画への延焼時間を調べた。 その結果、一般船では壁体の熱伝導により隣接区画へ火災伝播するのに対し、アルミ合金船では壁体の破損・溶融孔からの熱気流により火災が伝わる伝播機構の違いがあり、特に天井破損により上層へ伝わり易いことが分かった。従って、防火構造はアルミ合金の構造材を断熱材で狭んだサンドウィッチ構造とすべきである。また防熱材厚さはSOLAS規定のA級材以上であれば、避難時間を十分確保でき、密閉度などの条件が良ければ壁体を通して隣接区画への火災伝播は起こり得ない。 アルミ合金船の火災の特徴としては、破損孔を通じて空気の流入があるため、破損状況により支配要因である酸素濃度が大きく変化して、火災区画以外の区画では温度変化が激しい。このため火災状態には火災荷重の配置、気密性等の他に偶然性が現象支配に係わることがあり得る。 (2)単胴高速船における火災伝播 火災はまず上層に向かって伝わり、その後同甲板の他区画へ伝播する。窓の破損が酸素の供給を増すため、とくに窓枠の耐熱性の向上を計る必要がある。また、ある区画数以上燃えると、延焼速度が急増する。
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