コンクリ-ト・岩石におけるクラック進展解析手法の確立

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04555106
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 堀井 秀之 東京大学, 工学部, 助教授 (10181520)
• 研究分担者: 宋 河原 東京大学, 工学部, 講師 (10226722) ; 山口 栄輝 東京大学, 工学部, 助教授 (90200609)
• キーワード: 破壊力学 / 境界要素法 / 有限要素法 / コンクリ-ト / 岩石 / レ-ザ-スペックル法 / 引張試験 / 曲げ試験

研究概要

クラックの進展の解析に適した手法として、境界要素法と有限要素法の重ね合わせに基づく新しい解析手法を開発し、コンクリ-ト・岩石におけるクラック進展の解析プログラムを構築した。この解析手法は別領域をそれぞれの手法で解き、複合させる従来の手法とは全く異なるものである。本解析法では、問題を2つの問題の重ね合わせとし、一方を有限要素法で、他方を境界要素法で解き、両者を重ね合わせた時に全ての条件が満足されるように定式化されている。この手法は、クラック進展解析に適した境界要素法と、材料の非線形性に対応しやすい有限要素法の利点を組み合わせてものであり、これまでにこのような概念が発表されていない全く新しい手法である。
解析手法の有効性を示し、その妥当性を検証するために、鋼繊維補強コンクリ-トの一軸引張試験を行ない、コンクリ-トの破壊に関する物性を表す引張軟化曲線の計測に成功した。コンクリ-トの一軸引張試験は大変難しいが、本研究ではクラックゲ-ジを用い、クラックの開口変位にフィ-ドバックをかけることにより、ピ-ク後の挙動を安定に試験することができた。
クラックの進展を計測し、開口変位・せん断変位の分布を計測するために必要となる変位場計測システムを構築した。非接触で変位場を1μmの精度で計測可能なレ-ザ-スペックル法を採用し、二重露光したフィルムにレ-ザ-光を照射して干渉縞を出すときに、フィルムをXYプロッタ-により移動することにより変位場計測を自動的に行うことを可能にした。また、画像解析により干渉縞の解析を行うことにより、計測精度を上げることができた。この計測システムは、次年度に予定している曲げ試験、せん断試験におけるクラック進展の計測に有効であると考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Y.Okui,H.Horii,N.Akiyama: "A micromechanics-based continuum theory for strain localization and softening under compression" Fracture Mechanics of Concrete Structures,Proc.of First Int.Conf.on Fracture Mechanics of Concrete Structures,June,1-5,1992. 275-280 (1992)
• [文献書誌] Y.Okui,H.Horii,J.Satou,N.Akiyama: "A continuum theory based on micromechanics for interacting damage" Proc.of Localized Damage 92,July 1-3,1992. 2. 439-451 (1992)
• [文献書誌] M.Cai,H.Horii: "A constitutive model of highly jointed rock masses" Mechanics of Materials. 13. 217-246 (1992)
• [文献書誌] S.Nironalendran,H.Horii: "Analytical modeling of microcracking and bridging in the fracture of quasi-brittle materials" Journal of Medrauics and Physics of Solids. 40. 863-886 (1992)
• [文献書誌] ペ-タ-・カベレ,山口 栄輝,堀井 秀之: "有限要素法と境界要素法の重ね合わせに基づくコンクリ-ト構造の数値解析手法" 構造工学論文集. 39巻. (1993)
• [文献書誌] Petr Kabele,Eiki Yamaguchi and Hideyuki Horii: "Analysis of concrete structures by FEM-BEM superposition method" Computational Mechanics. (1993)