研究概要 |
本研究費により購入した大ストロークの油圧アクチュエーターと既設の実験システムとを組み合わせて,免震支承の大変形領域でのサブストラクチャーハイブリッド実験装置を完成させた。その結果得られた主な成果は次の通りである。1.免震支承を有する構造物のサブストラクチャーハイブリッド実験結果と,免震支承部分を剛とした非免震構造の数値シミュレーション結果との比較より,線形橋脚モデルにおいては,最大加速度100galから200galの入力地震動に対して,免震化によって上部構造の最大加速度を免震前のおよそ50%から70%に低減できることがわかった。2.非線形橋脚モデルにおける同上の比較より,最大加速度200galの入力地震動に対して,上部構造の最大加速度は免震前のおよそ65%から85%に低減されるが,300galの入力に対しては免震支承にハードニング現象が起こるため,加速度低減効果が小さくなることがわかった。 次に3自由度振動モデル,ならびに5自由度振動モデルを用いて地震動入力に対する制振実験を振動台を用いて行った。その際,パッシブコントロール,アクティブコントロール,ハイブリッドコントロールとしてTunedMass Damper(TMD),Active Mass Damper(AMD),Active Tuned Mass Damper(ATMD)を採用した。その主な成果は次のとおりである。3.TMDは同調させた1次振動モードに対して高い制振効果を示すが,高次振動モードに対してはほとんど効果がない。またAMDとATMDで同程度の制振効果を得るような場合,制振に要する制御力はATMDの方が圧倒的に少なくて済むことがわかった。4.一方,AMDとATMDで同程度の制御力を作用させた場合,AMDでは制御力のほとんどを1次振動の制御に費やすが,ATMDではTMDのパッシブな効果により1次振動に対する制御力が少なくて済み,高次振動に対しても制御力を配分していることがわかった。
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