研究概要 |
1.ハイブリッドマスダンパ方式制振装置模型の改良 付加質量を構造物の変位応答に追随させる位置制御サーボ機構では、本質的に高周波数領域ほど制御ループゲインが増加するために,高次の共振モードで自励発振するスプルオーバー現象を起こす傾向がある。そこで,加速度計からの出力にロ-パスフィルターを入れて高い周波数でのゲインを下げ,それにより生ずる位相のずれは,変位成分を用いて補正する。ロ-パスフィルターの時定数を調整し,車両の段差走行に伴う衝撃力による高周波応答に際しても,スピルオーバーを起こさないことを確認できた。 2.車両走行による模型桁の振動実験 模型車の駆動装置で走行を用い,測定径間の前後に加速径間および減速径間を設けて,測定径間では一定速度できるようにした。動的応答の測定において,桁の上部工振動のみではなく,周辺環境振動に直接関わる支点反力変動にも着目した。さらに,走行中の車両鉛直加速度も測定し,桁との連成振動あるいは桁に及ぼす変動作用力について検討した。路面凹凸の有無ならびにその高さを変化させた場合について,車両の重量,固有振動数および走行速度の相違による制振効果を,パッシブ方式のTMD(動吸振器)と比較し,ハイブリッドマスダンパ方式により制振装置の交通振動制御に対する有効性を確認した。さらに,支点反力変動についても桁の加速度あるいは変位と同様に,本制御装置により低減できた。 3.実用化のための問題点の検討 本橋桁制振装置の実用化に際して予期される問題点として,(1)曲げとねじりの連成振動に対して効果的な制振装置の橋軸直角方向における位置の選定,(2)橋軸方向および橋軸直角方向に複数個の制振装置を設置する場合の相互干渉があり,これらの問題点の検討のためのシミュレーション解析プログラムを開発した。
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