研究分担者 |
藤田 裕一郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (90027285)
山坂 昌成 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (20174641)
石井 千万太郎 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (80006676)
長谷川 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (70001328)
池田 宏 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20015986)
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研究概要 |
多自然型河川工法のフィロソフィーに関して,それぞれ分担の地域の例を調査し,河川の「自然性」についても,村本を中心に全員で検討し,それらの考え方についてある程度概念をまとめたが,明確な包括的な結論には至らなかった。同時に,研究メンバーは現行の多自然型河川工法を最近の移動床水理学研究に照らし合せて,つぎのような知見を得た。 池田は,現行の多自然型川造りの対象河川の多くが安定状態にあることを指摘し,それを変動の激しい河川に拡張する場合を想定して,山地河川の調査と水路実験を行い,巨石を利用した工法の適用性について考察した。長谷川は,そうした渓流河川の渕瀬の成因と反砂堆及び水面波誘起との関連を理論的・実験的に検討して流速・掃流力分布の評価法を示した。石井は,東北地方における施工例を詳細に検討し,大河川では移動床の水理特性をより利用した工法が,小河川では自然と人工の捉らえ方が重要であることを指摘し,前者について砂州河床の実験を行って,渕の形成と河岸維持の基礎データを得た。山坂は,多自然型親水性河道のほとんどが有する緩傾斜側岸について,その周辺の流れと境界せん断応力に関する実験を行うとともに,理論解析を進め,それらの予測手法を提案した。藤田(裕)は,多自然型河川工法の全国的な資料の検討からその類型化を試み,同時に護岸工の安定に関する考察に基づいて系統的な実験に着手した。渡邊は,多自然型河川工法が当然有すべき治水安全度の観点から,河床洗掘と河岸侵食を検討する大型実験を遂行し,その特性を明らかにする一方,砂州と河道平面形状の共振現象の発生条件を実験的に見出して理論や数値解と比較した。藤田(光)は,河道の自然性に関して世界各国の実例を調査するとともに,低水路拡幅後の水面幅維持に関連して植生の作用を指摘し,多自然型川造りに重要となる川辺の植生の繁茂状況と水位の年間変動との関係を明らかにした。
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