平成4年度には(1)豊田市在住の65歳以上の高齢者約1500人のアンケート調査、(2)高齢者(65歳以上)5名及び生産年齢者(25〜33歳)5名による実車とシミュレータによる運転特性調査を実施した。 その結果(1)高齢者が運転を断念する年齢は現在の年齢に5歳を加えた年齢とするものが50%ある。(2)ペーパードライバー比率が男性62%女性95%となっており、今後はモータリゼーションの洗礼を受けた世代が高齢化を向かえることもあり、ペーパードライバー比率は低下し、多くの高齢者が運転することになることが分かった。 一方、高齢者と生産年齢者による実車とシミュレータによる運転特性調査から、両者の技術の差が(3)曲線半径が100m以下の場合に表われ(4)坂路や人家の密集地にも表われる。(5)アクセレレーションノイズの大きさは数量化理論の分析からも運転技術を評価する指標であることが示された。曲線半径とハンドル操作角の変動とのスペクトル解析からは(6)曲線半径が500m以下ではハンドルの操作の微調整は行なわれず、800m以上の曲線半径で微調整のための変動があることが分かった。この事実は従来の考えを覆えず知見である.カーブの曲がりにくさを一対比較でみると(7)曲線半径が50mのウエイトが被験者平均で0.5であるのに対し、200mで0.1と低下し、これ以上の曲線半径では一定となることも分かった。 以上の結果から、曲線部の行での運転技術はアクセレレーションノイズの値からは100mの曲線が限界でこれ以上では運転技術に被験者間で差が表われる.一方、一対比較からは200m以下で差が表われることが示され、シミュレータによる数値と運転車の意識で半径100mの差が表われた。来年度では多くの被験者を対象に評価値が安定するモデルの構築を行う予定である。
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