研究概要 |
膜分離活性汚泥法において,中空糸膜を束ねたものを膜分離モジュールして用い,これを曝気槽内で揺動させ,エアレーションによる気泡上昇エネルギーを利用すれば,広大な膜面績がコンパクトな装置で得られ,電力の大幅な節約が可能になると考えられる.本年度は,各種中空糸膜モジュールと濾布モジュールを用い,本法に適するモジュール形状について検討した. エアレーションタンクは,400mm×400mm×400mmのアクリル製で,3種類の中空糸膜モジュール(ループ状2種類と織物状)と2種類の濾布モジュールを設置し,15分吸引15分停止のサイクルで運転した.MLSSの初期濃度は2000mg/L,容積負荷は1.5gCODcr/L/dayとした. 中空糸膜モジュールの場合は,モジュール形状よりもエアレーションによる気泡との接触条件により,濾過抵抗の上昇は左右されることがわかった.濾布モジュールの場合は,常に高い透過液フラックスが得られた,空気逆洗を実施するとモジュールが破損し易いことがわかった.実験開始後MLSS濃度は約10000mg/Lとなったが,膜モジュールの表面にはゲル状物質が堆積した.混合液を遠心分離して上澄水を濃縮したところ半透明のゲル状物質が析出し,これらの細胞外ポリマー濃度の制御方法が,本法の成否の鍵を握っていることが示唆された.
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