研究課題
本年度は、当初計画に基づき研究室レイアウトを4度にわたって変更し、各回毎に利用者の利用実態調査を定点ビデオ撮影、ならびに15分インターバル写真撮影、利用者に対する満足度絶対評価、前回レイアウトとの比較相対評価を行ってきた。利用者の要求を取り入れることによって満足度を高める利用者参加の手法も導入を試みたが、実験結果が繁雑になることから、4回目のレイアウト変更においてはエキスパート設計システムによってプログラミングを試み、現在、実験観測中である。観測結果によると、研究室利用者の在室時間はその作業の形態に適したフレックスタイム制になっている。しかしながら、在籍者個々人によってその在室時間帯には特徴があり、毎日平均して同じ時間帯に在籍している様子が確認できる。そのため、研究室在室者数を集計するとピークが午後にあり、一般のオフィスの在室形態とは明らかに異なっている。これらの研究室員の作業種は近年のOA機器の普及を反映して、ワープロ、OAオペレーションの割合が非常に高い。自席においての作業もラップトップ型コンピューターの利用によるオペレーションである比率が非常に高くなっている。また、ブレインストーミングにあたるコミュニケーションの比率もかなり高率であり、従来からの資料検索の効率性の追及に加えて、フレシブルな機能空間を計画する必要性が高いことが分かる。OA機器が研究室内に数多く備えられるようになった現在、従来の什器備品では作業スペースが非常に手狭であるとともに、コンセントやアースなどが不足している。この点についてデスク形状を変更し、フリーアクセスフロアを採用することによって不足感がかなり解消できている。フリーアドレス席に対する評価についても馴れによって若干高まることが確認できており、利用者参加手法によってどこまで満足度の高い効率的なレイアウトが可能かの研究を次年度に継続して行うことになっている。
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