研究課題
試験研究(B)
本研究はファシリティマネジメントの視点にたって大学研究室を整備する実験とその事後評価を行い、今後の大学研究環境のあり方を展望しようとするものである。初年度は、研究室利用実態調査、備品調査、資料調査により、利用上の問題点や整備のための条件を明らかにすると同時に研究執務スペースに対する研究者の意識調査も実施した。また需要者の意識向上を図るためにコンペを実施しさまざまな角度からのアイデアを検討した。次年度は、初年度に整理した条件をもとに研究室の改修工事を実施し、質の向上とフリーアドレスの効果の検証、コンペ案の実施、需要者の合意形成によるレイアウト作成の可能性の模索、典型的フリーアドレス型レイアウトによるフリーアドレスの効果の検証といったコンセプトに従いレイアウト変更実験を試みた。また他大学の研究環境についても使い方調査を実施し利用状況を把握した。最終年度は、次年度に引続きレイアウト変更実験として典型的固定席型レイアウトによる固定席の効果の検証を行った。そして実験終了にあたり一連のレイアウト変更実験を通じて大学研究室に適した研究環境の提案と実施を行った。また、他大学の研究室利用実態調査として昨年度に実施できなかった大学について調査を行った。さらに、一連の研究結果を基にフリーアドレス、プログラミング、領域、他大学の研究室利用状況といったさまざまな観点により実験のまとめを行い、今後の大学研究環境のあり方、更には一般の研究施設整備のあり方について展望した。大学研究室に適した研究環境としては、季節型フリーアドレス方式が有効であると考えられる。季節型フリーアドレス方式とは、研究室で行われる作業内容に応じてその利用方法をフリーアドレス、グループアドレス、固定席と順次変更して利用する方式である。