油汚濁防止の抜本的新技術の開発が求められているが、現在水中に分散している油分の有効な除去技術は見いだされていない。本研究の目的は申請者が新たに提案した、分散油滴ならびに油捕捉材の水中に於ける界面特性を利用する油汚濁物の分離・除去法を確立し実用化するためにおこなった試験であり、油汚染液は油と界面活性剤および無機電解質を含む液を作製し、アルカリ土類金属珪酸塩を主体とした繊維状の付着材に付着・分離させ、原液と処理後の液の油濃度を検討したものである。 その結果、油滴あるいはエマルションは水中で電荷を有しており、液を粒子とは界面電気的に反対符号を有する繊維状の捕捉材(スラグゥールを充填したカラムに通過させるか、あるは液中にて移動させて捕捉することができた。原液中の油滴ならびに付着材の界面動電特性はレーザーゼータ電位計LEZA-400にて調べたが、本装置によって迅速に再現性の極めて良い結果を得た。汚染水のカラム通過後の油濃度は現有の油濃度計にて測定し、除去率を求めた。捕捉材の使用限界を把握する目的で、仙台下水処理場にてSS、大腸菌、BOD、CODの除去試験をおこなったが、数十リットル規模の汚染水に充分適用し得ることが判明した。充填層移動型の装置を試作し、毎時0.4立米、線速度毎時2米の機械油洗浄水から油成分のみを除去し、共存する界面活性剤のみを再利用するシステムに適用し、3カ月間の連続試験をおこなったが、油によってスラグが目詰まりすることなく実用化が可能であることが判明した。スラグの使用量は18kgであった。申請者は本研究を提案したので実験室規模での原理の確認、応用分野の考察、適用限界などを調べた。また研究協力者は捕捉材として最も有効的と考えられたアルカリ土類金属珪酸塩の繊維をニッケル製錬スラグとして提供し、実際の油汚染水および微粒子懸濁液に適用した。
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