爆破き裂の方向制御を行うために、新しい着想として衝撃波の集中効果を造り出すくさび形空洞を有する装薬ホルダーを使用する方法を提案し、モデル爆破実験を行って本提案法の有効性を考案し、以下の成果を得た。 (1)提案法は、デカップリング状態にある装薬の爆発によって発生する衝撃波と特別に工夫された幾何形状を有する装薬孔壁面との干渉効果に着目したものである。装薬ホルダーは鋼製の部品を組み合わせて構成され、同一直径上に適当な角度を有するくさび形空洞(空気のギャップ)を形成する。これによって、衝撃波の集中効果を作り出すことが出来、装薬孔の孔壁に作用する爆力の作用方向と作用時間の制御が可能となり、くさび形空洞先端位置の装薬孔壁面上に引っ張り応力場がつくり出され、その位置を予定破断面方向に一致させることによって、き裂の進展方向を制御することが出来る。 (2)爆破モデル実験を行い、スリットを有する装薬ホルダーとくさび形空洞を有する装薬ホルダーの有効性を比較考察し、提案法はき裂形成位置と進展方向の制御、爆破孔壁の損傷防止、破断作用の向上などにおいて効果的でることが明らかになった。 (3)PMMA供試体を使用した可視化実験を行い、装薬ホルダーによって生じる応力波の挙動を調べた。これによって、くさび形空洞先端を中心とする応力波が装薬ホルダー周囲に発生し、伝ぱすることが明らかになった。 (4)トロウズル試験を参考にした鉛供試体を使用して装薬ホルダーが作り出す爆破効果を調べた。これによって、予定破断面方向に沿うき裂を進展させるための爆力の作用方向の制御が可能であることが示された。 これらの結果から、くさび形空洞を有する装薬ホルダーによる動的作用としての衝撃波の集中効果により、予定破断面位置の孔壁面により、そのき裂が形成された後、爆発ガスの作用により、そのき裂が進展し、破断面が形成されることを意味している。
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