研究概要 |
1. Tb(Mn_<1-x>Al_x)_2系の比熱の測定:現有の低温比熱測定装置および中温比熱測定装置を使用し,Tb(Mn_<0.9>Al_<0.1>)_2の比熱の測定を12Kから300Kの間で行った。その結果,TbMn_2で見られた,磁気転移点50Kでの比熱のピークが消失し,70K付近を中心とするブロードなピークが観測された。これは,フラストレートした系への不純物効果として理論的に予想されるスピングラス化によるものと解釈される。また磁気エントロピーを解析したところ,全磁気エントロピーはTbの全角運動量から予想されるR/n13より大きくなり,Mnの原子も磁気モーメントの局在化が起こり,磁気比熱に寄与していることがわかった。しかし,比熱が増大する温度範囲が高く,蓄冷材としての性能はあまり良くないことがわかった。 2. RBi系の試料作製と比熱測定: 磁気相互作用のフラストレーション効果により低いネール温度が期待できるNaCl型結晶構造を持つRBi系の磁性と比熱をしらべた。Biは融点が低くアーク溶解炉では化合物は製作できず,Ta管に封入加熱する事により作製した。帯磁率の温度依存性を測定したところ,ネール温度は4.2K以下にあることがわかった。また,比熱を測定したところ3.7K付近で最大値40J/mol・Kにおよぶ強いピークを示すことがわかった。この値は極めて大きなものであるが蓄冷材としてはピーク温度が低すぎ不適当である。しかし,希土類元素をDyやGdにかえ,(R-R')Bi擬2元系を作れば蓄冷材として有望な物質が見いだせる可能性が高いことがわかった。
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