研究課題/領域番号 |
04555155
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
志賀 正幸 京都大学, 工学部, 教授 (30026025)
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研究分担者 |
中村 裕之 京都大学, 工学部, 助手 (00202218)
和田 裕文 京都大学, 工学部, 助教授 (80191831)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 蓄冷材 / 希土類-マンガン化合物 / 低温比熱 / 磁気エントロピー / 結晶場 / スピンの揺らぎ |
研究概要 |
小型冷凍器の熱交換機に用いられる蓄冷材料は低温の広い温度範囲で大きな熱量を有し、高い熱伝導を持つ物質が望まれる。希土類元素(R)を含む金属間化合物は、Rが大きな磁気モーメントを持ち、キュリー温度が低いので低温で大きな比熱を示し蓄冷材料として注目されている。われわれはRMn_2化合物ではRだけでなくMnも磁気モーメントを持つのと、磁気構造がフラストレティブであるため、低温に磁気転移温度を持つことを見いだしてきた。本研究はこれらの研究をもとにして、蓄冷材料になりうる物質を開発することを目的に行われた。研究の結果、RMn_2においては原子間距離がある臨界値よりも大きいとき、Mnは大きな磁気モーメントを発生するが、熱的には極めて不安定である。このMnをAlで一部置換した系ではフラストレーションの解除によってスピングラスが発生し、磁気転移点ブロードになって、トータルのエントロピーは増大するが、低温の比熱はむしろ減少することがわかった。一方原子間距離が臨界値より小さな値を持つときMnの大部分は磁気モーメントを消失し、大きなスピンの揺らぎを発生する。その結果電子比熱が増大し、これをRのモーメントによる磁気比熱に重ね合わせることによって大きな磁気比熱が得られる可能性があることがわかった。この場合、Rが低温で大きな磁気比熱を示すためには結晶場の制御も必要である。そこで結晶場と分子場を取り込んで希土類と遷移金属の比熱を求める計算法を開発し、RCo_2やRMn_2Ge_2に適用した。これらの結果からRMn_2に対してはMnをCuやNiで置換した系が蓄冷材料としてもっとも有望であると考えられ、今後その研究を行っていくことにしている。また他の希土類化合物についても材料探索を行い、(Dy-Er)Biに於いても大きな比熱を示す可能性があることを見いだした。
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