研究課題/領域番号 |
04555158
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属製錬・金属化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐野 正道 名古屋大学, 工学部, 教授 (70023174)
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研究分担者 |
工藤 一郎 新日本製鉄(株), 室蘭製鉄所・設備部, 部長代理
水上 義正 新日本製鉄(株), 技術開発本部・名古屋技術研究部, 主幹研究員
山本 君二 (株)TYK, 研究所, 所長
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 溶融金属 / 高純度化 / 真空脱ガス / 多孔質材料 / 脱炭素 / 脱窒素 / 脱酸素 / 脱水素 |
研究概要 |
真空吸引脱ガス法(VSD法)を提案し、溶融金属中のガスを生成する不純物の除去に適用した。本法においては、融体と外界をガス透過性、融体不透過性の多孔質材料により仕切り、外界を減圧下におく。この場合、ガスを生成する不純物は融体-多孔質材料の界面でガス化し、多孔質材料を通して外界に速やかに除去されるため、不純物除去が促進される。 極低濃度域における溶鉄の脱炭、脱窒実験を、溶鉄中に内部を減圧にした耐火物製の多孔質管を浸漬することにより行った。脱炭反応は溶鉄の炭素と多孔質管の酸化物(Al_2O_3、SiO_2など)の間の反応で進行した。溶鉄中の炭素濃度は数ppmの極低濃度まで低下する一方、酸素濃度は50ppm以下に保たれた。Al_2O_3-SiO_2管を用いた脱炭速度はAl_2O_3管を用いたそれより非常に大きかった。多孔質管のガス透過性の増加により脱炭速度は大きくなった。以上により、VSD法は溶鉄の脱炭速度を著しく増加させることを明らかにした。さらに、本法を用いて溶鉄の脱窒実験を行った。同時脱炭脱窒の場合、脱窒速度は非常に増加した。多孔質管表面における脱窒の化学反応速度定数は、従来得られている溶鉄表面におけるそれにほぼ一致した。 グラファイトによる溶銅の脱酸実験をVSD法を適用して行った。脱酸速度は、生成したCOガスの吸引除去、したがってCO気泡による攪拌力の低下のため、減少した。しかし、到達酸素濃度はVSD法を適用しない場合と比較してより低くなった。 VSD法が溶鉄、溶融アルミニウムの脱水素にも有効であることを示した。溶鉄の脱水素速度は液側とガス側の物質移動の混合律速であり、溶融アルミニウムの脱水素速度は液側物質移動律速であることを明らかにした。 なお、実用化規模の実施試験については今後の課題として残った。
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