研究概要 |
1.装置、方法の改善:(1)原料ガスとしてC_2H_2,O_2を用いて燃焼炎を発生させるが、新たにガスの送供経路に逆火防止弁、ガス遮断機を設け、逆火の危険性を防止した。(2)成膜用基板の保持、冷却用のCu製ホルダーの内容積を大きくし、冷却水による基板の冷却高価を大きくした。(3)高周波電力の燃焼炎への印加に用いるCu製ワークコイルと基板ホルダー間の放電防止のため、基板ホルダー上面にセラミックペーストを塗布した。(4)高周波のノイズが基板温度測定用熱電対や温度レコーダーに入るのを防止する回路を設けた。(5)高周波の周波数(13.56MHzと27.12MHz)に応じてワークコイルの巻数を変えて燃焼炎への高周波印加が効率よく行えるように工夫した。 2.実験結果とその考察:基板に表面を鏡面研磨したMo,Cuを用い、ガス流量比(C_2H_2/O_2)0.87,基板温度500℃で、高周波電力を印加しない場合、核発生密度は時間にほとんど依存せず、粒径は120分で約20umに成長した。しかし粒径ではなく近似的に体積に換算してみると時間とともに指数関数的に増加する傾向が見られた。これに13.56MHzの高周波電力を100Wおよび200W印加すると、粒径の増加の促進、核発生密度の増加が若干見られた。13.56MHzの高周波印加の場合、ダイヤモンド粒子研磨による傷つけ前処理を施したMo基板上に、ガス流量比0.87、基板温度600℃で良質のダイヤモンド膜が形成されたが、同じ前処理を施したCu基板では、より低温(400℃)で高周波電力印加により良質のダイヤモンド膜が堆積した。27.12MHzと周波数が高い場合は、総じて結果がよくなかった。 3.新しい発見と今後の方向:Ti基板でプラズマ浸炭窒化の前処理を施すと、傷つけ処理なしにダイヤモンド膜の高速堆積が可能となることを見いだしたので、このような前処理と高周波電力印加の組み合わせによる高速ダイヤモンド堆積法を検討してみたい。
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