1)装置の改善: 前年度に作成した装置について、引き続き装置の試験、改造、および機能試験を行なった。とくに鋳造時の圧力導入速度が不十分であったのでその増加をはかり、所定の性能を確認した。これにより本装置は全体として所期の設計仕様を実現することができた。 2)本装置を用いた研究の結果: 各種チタン合金の薄肉部における鋳型充填能・流動性を測定し、これに対して鋳造要因としては溶湯ヘッド、堰大きさおよび鋳型内のガス抜きの影響があることがわかった。そこで、差圧鋳造の基礎として、ガス抜きがまったくない条件で合金の加圧鋳造を行ない、流動性に対する鋳型内背圧の影響を調べ、またこれについて理論解析を行ない、その結果に基づき、差圧鋳造における注入・流動状況を予測する方式を確立した。一方、チタン合金鋳物の表面形成に対する鋳型材料の影響を調べた結果、カルシア、ランタニア、イットリアはほとんど反応が生じないが、ジルコニアは表面反応がある。しかし、このことは流動性には大きく影響せず、流動性に対してはむしろ熱的要因の影響が大きい。また、チタンの引けを防止するには加圧が必要であるが、加圧するかぎりは引け発生挙動は鉄にほぼ相当することがわかった。
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