不活性雰囲気と加圧を組み合わせた差圧溶解鋳造法によりチタンなどの活性金属の薄肉鋳造を可能にすべく、装置のプロトタイプを設計・試作した。 1)装置設計、製作、組立、設置 装置は加圧・減圧可能なタンクと電源、真空系からなり、高周波誘導コイル(カルシアるつぼ、溶解量1.5kg)及び鋳型室を設けた。タンク全体圧力と、鋳型室圧力とに差圧を与えることにより制御された雰囲気と速度で溶融金属を鋳型内に押し上げ、優れた流動性を確保するようにした。 2)動作試験:所定の機能を確認した。 3)試験溶解、鋳造:チタン、鋼、アルミニウム合金、が効率的に溶解・鋳造できることを確認した。 4)鋳型試作、通気度試験:カルシア鋳型を試作し、目標の通気度を有することを確認した。 5)薄肉限界の試験:本装置を用いて以下の研究結果を得た。 各種チタン合金の鋳型充填能に対して堰およびガス抜きの影響がある。差圧鋳造の基礎として、鋳型内のガスに対するガス抜きがまったくない条件で合金の流動性試験を行い、鋳型内背圧の影響を調べ、また理論解析を行った。チタン合金鋳物の表面品質に対する鋳型材料の影響としては、カルシア、ランタニア、イットリアはほとんど反応が生じない。チタンの引けを防止するには加圧が必要であるが、加圧するかぎりは引け発生挙動は鉄にほぼ相当する。 以上のように活性金属の加圧溶解・差圧鋳造装置のプロトタイプを完成し、またそれにより鋳型充填能、流動性、引け巣発生、鋳型・鋳物表面反応などに対する基本的鋳造諸因子の影響を明らかにした。
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