研究概要 |
平成4年度では,連続鋳造鋳片の表面性状の改善を目的として,鋳型の外部より間欠高周波磁場を印加する新しい方法を提案した.この提案の妥当性を検討するために現有の高周波発振器を用いて基礎的データーおよび理論解析を行った. 平成5年度では,パルス磁場発生装置を購入し本提案プロセスの特性を究明するために間欠磁場印加によるコイル内の磁場分布および溶融金属表面波動特性,メニスカス高さおよび深さと間欠接触距離に及ぼす印加周波数と印加電流の効果を測定した.表面波動は間欠印加周波数が20Hz位までは印加周波数に従って変動するが30Hz以上になると印加周波数には追随しなくなることを明らかにすると共に,メニスカス高さおよび深さと間欠接触距離は磁場印加期間の割合の増大に伴い大きくなり,印加周波数が10Hzまでは周波数の増大に伴い減少する傾向を示し10Hz以上になるとほぼ一定の値となることを明らかにした.さらに,錫を用いた鋳造実験を行い鋳片の表面性状度に及ぼす間欠周波数,磁場印加割合および印加電流値の効果を検討した.その結果,鋳片表面には間欠周波数に一致した縞模様が生じたが,15Hz以上になると縞模様は周波数に追随しなくなることを明らかにした.表面粗度を測定した結果,メニスカス溶湯の挙動はモ-ルドオシレーションではなく間欠磁場によって律せられることを明らかとした. 平成6年度では,本プロセスの特性を明らかにするために溶鋼のモデル系として採用した溶融ガリウムのメニスカス挙動に及ぼす間欠磁場印加周波数および磁場強度の効果をレーザー変位計で測定した.また,鋼のモデル系として錫を用いた連続鋳造実験を行い鋳片の表面性状に及ぼす間欠磁場の印加効果および同期印加時期について検討した.その結果,間欠高周波磁場の間欠印加周波数が溶湯の固有振動数の近傍において溶湯に共振運動を生じせしめ,溶湯とモ-ルドとの間欠接触距離が長くなることを明らかにした.また,間欠磁場をモ-ルドオシレーションと同期させた場合,モ-ルドオシレーションの最低位置を含む期間に同期印加することにより,よりよい表面性状の鋳片が得られることを明らかにした.同一表面性状を得るに要する電流量は、連続印加,間欠印加,間欠磁場の同期印加の順に大幅に低減できることも明らかにした. 最後に,得られた研究成果をまとめて学会報告並びに論文投稿すると共に報告書の作成を行った.
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