研究課題/領域番号 |
04555166
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増本 健 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20005854)
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研究分担者 |
上埜 修司 ユニチカ株式会社, 中央研究所, 研究員
渋谷 清 川崎製鉄株式会社, 鉄鋼研究所, 主任研究員
西山 信行 帝国ピストンリング株式会社, 新製品開発部, 研究員
牧野 彰宏 アルプス電気株式会社, 材料開発部, 主任研究員
菊地 迪夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30204837)
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キーワード | アモルファス相 / ナノbcc相 / 軟磁性 / 結晶化 / 高磁束密度 |
研究概要 |
本年度ではFe-TM-P-BおよびFe-TM-Si:(TM=遷移金属)系合金において、液体急冷によりアモルファス薄帯を作製し、これを適切な温度で焼なましすることによりナノbcc粒が残存アモルファス相で囲まれた超微細複相組織が生成する合金系と組成域を調べた。その結果、Fe-Zr-B,Fe-Hf-B,Fe-Nb-B系合金においてのみ目標とした超微細複相組織が得られ、Fe-TM-P-BおよびFe-TM-Si:系では初晶bcc相の粒径が粗くなり、本研究の目的に沿った組織化を図ることは出来なかった。Fe-TM-B(TM=Zr,Hf,Nb)系アモルファス相を焼なましすることにより得たナノbcc粒集合体は、10^4以上の透磁率と1.5T以上の高飽和磁化、ほぼ零あるいはわずかに負の磁歪を併せ持つ新しいタイプの軟磁気特性を示すことを見出した。また、これらのアモルファス合金はきわめて粘く、結晶相の出現後においてのみ脆化をおこす。従って、アモルファス相状態での室温での機械加工による打抜き加工、結晶化温度以下に少し加熱した状態で積層化は大変良好に行えることが判明した。さらに、打抜き加工、積層化後行う最適熱処理により得たbcc集合体は、アモルファス単相状態に比べて磁気特性や内部組織の時効に対する安定性に優れている外に、高硬度のために耐摩耗性も良好であることが明らかになっている。現在種々の環境下での耐食性の長時間試験を行っている。これらの結果に見るように、本年度の開発目標の大部分はすでに達成しており、来年度の本研究の最終目的である新しい軟磁性材料として工業化に最適な組成と特性を決定できるものと考えている。
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