研究概要 |
1.スケールアップと実働試験 Ni_3(Si,Ti)ならびにNi_3(Si,Ti)+Nb合金を高周波アルミナるつぼ溶解により、3kgの角型ならびに丸棒状のインゴットの作製を試みた。その結果、健全な鋳塊を作成することに成功した。これら鋳塊より,切削ならびに放電加工により高温引張試験機用治具,高温熱処理用部材ならびに硫酸処理容器用部材を作成し、各々実機試験を開始した。予定した性能を発揮しているが、その評価が現在も継続されている。 2.クリープ特性に優れた金属間化合物の開発 前年度に引続き,耐熱性に優れたNi_3(Si,Ti)-Co_3(Si,Ti)擬二元系金属間化合物の開発を試みた。その結果、材料の調整としては,新たに「マグネシアるつぼを用いた高周波溶解」により作製することが可能であり、また,Ta,Nb,Cr,Fe,Alの少量複合添加によりインコネル718より優れたクリープ強度が得られることを確認した。 3.耐蝕性ならびに延性に優れた金属間化合物の開発 前年度に引き続き,Ni_3(Si,Ti)基本成分にCu(0.5-3at.%),Ta(1-4at.%),B(0.001-0.01%)を添加したもの、さらにはこれらにZr,Hf,Moを添加したものが従来材料ハステロイDより耐硫酸性が優れかつ非常に良好な延性を有する金属間化合物を見いだすことに成功した。 4.成分元素間の結合状態の理解 開発が試行されている合金の良好な高温強度、耐蝕性,延性の発現の原子的理解が,核磁気共鳴による成分元素(特にSi,Ni,B)間の結合状態と結晶構造に関する研究によりなされた。
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