研究課題
超音波の逆演算解析に基づく定量非破壊評価機器の試作は、まず、AE原波形解析部、波形収録型超音波Cスコープ部、ビデオマイクロスコープ型表面観察部、温度・負荷制御部により構成された計測部を統合し、各種材料試験を行うことで進められた。材料試験では、セラミックコーティング材について熱衝撃及び熱サイクル疲労試験、熱AE試験が行われた。セラミックコーティング材の熱衝撃試験では、母材に低炭素鋼を用いたアルミナコーティング材に、赤外線スポット炉を用いて最大温度を1273Kとし、10k/sで加熱を行なった。そのときに発生するAE信号を、冷却部を介した複数のAE変換子を用いて検出し、逆演算を行うことにより熱衝撃による損傷評価を行った。その結果、破壊機構によりAE源の生成時間が異なり、その時間が短いものはコーティング層の縦割れに、長いものは界面の剥離に対応することが明らかになった。熱サイクル疲労試験及び、熱AE試験では、母材にSUS304を用いたジルコニアコーティング材に、赤外線イメージ炉を用いて最大温度を1473Kとして加熱・冷却を行なった。そして、熱サイクル試験時、及び熱AE試験時に発生するAE信号を、導波棒を用いて2chでAE計測を行い、縦波初動波形の到達時間差から損傷位置を高感度かつ高精度で求めた。また、超音波Cスコープを用いて、AE位置標定により求められた位置において、表面エコーのリンギング波形に混入した欠陥エコー波形を抽出する事で、コーティング界面の剥離領域の大きさを定量的に評価できた。
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