放電加工により作製した矩形状、円弧状、直角三角形状及び二等辺三角形状の断面を有する鋼及びアルミニウム合金の試験片に対して磁気探傷試験、放射線透過試験及び超音波探傷試験を行った。得られた結果をまとめると次のとおりである。 (1)磁気探傷試験において、試験体中に存在する欠陥形状は、磁気素子により波形変換されて探傷波形として出力されるため、この系を線形システムと考え、コンボルーション法を用いて伝達関数を求めた。これを用いることにより、未知の欠陥形状はその探傷波形のフーリエ変換によりほぼ推定できた。また、欠陥の長さが測定値に影響するが、これを減少させるためには磁気素子を磁気シールドすることが効果的であることを明らかにした。 (2)放射線透過試験においては、まず、一段形の正方形の階調計を評価の基準として採用し、一辺の長さ、厚さ及び配置を変化させた際の透過写真の濃度を求める計算式を導入した。ついで、階調計を試験体と同時に透過写真を撮影し、得られたきずの像の濃度分布を用いることにより、きずの高さをきずの断面形状に関係なく、ほぼ推定できることを明らかにした。この際、補正係数を導入する必要がある。この値は、試験体の厚さ、階調計の一辺の長さ及び階調計を線源側あるいはフィルム側に置くかにより変化するが、使用する線源の種類には影響されないことが明らかになった。 (3)超音波探傷試験においては、2振動子探触子を用いることにより、きずの形状・寸法をほぼ推定できることを明らかにした。この際、探触子の音響隔離面をきずの長さ方向に直角に配置して測定することにより、きずからのエコーが得られやすくなる。また、試験体の材質が変化した場合には、それぞれの材料の音速の違いの補正を行えば、十分推定が可能である。 疲労割れのような微細な欠陥に対しては、更に検討を加えることが必要である。
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