研究課題/領域番号 |
04555182
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機工業化学・無機材料工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究分担者 |
川上 章 日立マクセル(株), 技術本部, 主任研究員
岸本 昭 東京大学, 工学部・工業化学科, 講師 (30211874)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 過酸化ポリ酸 / エレクトロクロミズム / スピンコーティング / 固体電解質 / 非晶質薄膜 / プロトン導電性 / プルシアンブルー |
研究概要 |
1.新エレクトロクロミック(EC)材料の開発と評価 金属タングステンWおよびモリブデンMoの混合粉末を過酸化水素水溶液に溶解させるとこの二つの金属を含むポリアニオンを酸基とする過酸化ポリ酸が得られる。この水溶液を導電性ガラス基板上に回転塗布することにより均質な非晶質薄膜(〜0.4μm)を形成できたので、その組成や熱処理条件とEC特性の関係について調べた。120℃で加熱したMo/W=1の膜は、有機電解液中でリチウムイオンをインターカレートした際に無色から黒青色の大きなコントラスト比の着消色特性を示すと同時に、良好な可逆性を示した。 2.高分子固体電解質/EC膜界面の特性評価 過酸化ポリタングステン酸の回転塗布によって得られる酸化タングステン膜をLiBF_4をドープしたエチレンオキシド/プロピレンオキシドの光共重合によって得られる固体電解質膜と接触させ、その界面におけるEC反応について調べ、固体セルの動的特性の検討に適する新たな過渡電流解析手法も開発した。その結果、電解液との界面では電荷移動過程が着消色の速度を律するのに対しこの固体系では酸化タングステン中のリチウムの拡散が律速となっていること、さらには良好な着消色の応答性を有することも明らかになった。 3.透過型全固体EC素子の試作および特性評価 過酸化タンタル酸から作成される新たなプロトン導電性薄膜を開発し、その特性を評価すると共に、これを用いて酸化タングステン/プルシアンブルー(PB)系の透過型素子を試作した。この素子においては、プロトンがPB中にあるときは光を透過するが、プロトンが酸化タンタル膜を通して酸化タングステン中に移動すると透過率が急減する。この繰り返しが安定に起こることが確認されたので、調光素子への応用の可能性が示された。
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