研究課題
試験研究(B)
構造材料のリサイクル性を考慮にいれ、これを前提として材料の設計を行う場合、使用時の信頼性の獲得が重要である。本研究は材料自身に特別な機能(自己診断機能)を付与させることにより、材料自身が破壊する前に警報を発することができないかを検討したものである。このための材料設計指針として材料が2段階で破壊することが必要であると考えた。CFGFRPは高弾性、低限界伸びの炭素繊維と高靭性、高限界伸びのガラス繊維を組み合わせた材料であり、コンクリート補強用に清水建設(株)が独自に開発した材料である。東大グループは炭素繊維の導電性に着目し、材料の構造の中で、機械的な応力により動きやすい炭素繊維の電気抵抗が応力により変化することを予想した。CFGFRPにおいて引張り荷重に比例してと電気抵抗が増大することが確認され、荷重を除去した後も抵抗値ははもとの値に戻らず、残留抵抗としての値を示す。残留抵抗は引っ張り試験と電気抵抗の同時計測により材料に与えられた応力の積分値を反映した抵抗値を示すことが確認され、電気抵抗の変化と残留抵抗値すなわち、応力がゼロの時の材料の抵抗値で材料の疲労度が検出できることがあきらかにされた。加えられた応力の積分値が残留抵抗値として表現されることが明らかとされたことが本研究の最も大きな成果であり、過去にうけた材料の最大損傷を複雑なセンサーシステムを利用することなく、自己診断により検出できることを明らかとした。一方、補強炭素繊維をカーボンビーズに替えた試料の電気抵抗-歪み曲線はCFGFRPに比べてはるかに大きな値を示し、応力センサーとして別の応用ができることが確認された。
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