研究課題/領域番号 |
04555188
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
峠 登 近畿大学, 理工学部, 教授 (00081315)
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研究分担者 |
吉田 昭彦 松下電器産業(株)電子化学材料研究所, 研究室長
高橋 雅也 大阪市立工業研究所, 研究員
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キーワード | ゾル-ゲル法 / 強誘電体 / 薄膜 / PZT / PLZT / ペロブスカイト構造 / 化学修飾 / パターニング |
研究概要 |
近年、強誘電体薄膜とトランジスタを組み合わせた強誘電体メモリーが大きな関心を集めている。このようなメモリー用強誘電薄膜の作製法として、ケミカルプロセス、特に金属アルコキシドを原料とするゾル-ゲル法は非常に有望である。本研究は、ゾル-ゲル法によるチタン酸塩およびジルコン酸塩系強誘電体薄膜の作製プロセスの確立と、得られる薄膜の特性評価を行うことを目的として行ったものであり、以下のような知見を得た。 (1)アセチルアセトンで化学修飾したZrとTiのブトキシド、および酢酸鉛と硝酸ランタンを用いてPbZr_xTi_<1-x>O_3系(x=0-0.65)、Pb_<1-x>La_x(Zr_<0.65>Ti_<0.35>)_<1-x/4>O_3系(x=0-0.09)薄膜を作製するための条件を明らかにした。特に水和酢酸鉛は、モノエタノールアミンを用いることによりエタノールに可溶化し、これらの薄膜の簡便な原料となることを実証した。 (2)Pt基板上に形成したこれらの薄膜は、空気中700℃で熱処理することにより、ペロブスカイト単一相となり、強誘電特性を示した。また、組成ずれはほとんど見られなかった。 (3)PbZr_xTi_<1-x>O_3系薄膜では、誘電率はxと共に増加し、x=0.5付近で極大値800を示した。Pb_<1-x>La_x(Zr_<0.65>Ti_<0.35>)_<1-x/4>O_3系薄膜では、Laの添加により誘電率が急激に大きくなり、x=0.09で2000以上となることを見いだした。膜厚1mumの薄膜ではリーク電流は10^2nA/cm^2程度であるが、膜厚が減少することにより大きく増加した。 (4)アセチルアセトン、またはベンゾイルアセトンで化学修飾したZrおよびTiのアルコキシドから得られるゲル膜に紫外線を照射すると、beta-ジケトンは一次過程で光分解されることを明らかにした。さらに紫外線照射により、ゲル膜は酸あるいはアルコールに不溶化することを見いだし、この現象はエレクトロニクス用薄膜の微細加工に応用できることを明らかにした。
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