研究課題
1.雰囲気炉用放射温度計を購入し、吸蔵ガス分析装置(昨年度設備備品)と組合わせて超高真空中でシリカガラス等の試料を加熱した時に発生する微量ガス成分を分析した。逆にシリカガラスに波長163nmの吸収帯を生ぜしめる酸素不足型欠陥(正常な≡Si-O-Si≡結合から酸素原子が抜けた≡Si:Si≡結合を持つ欠陥)を酸素ガス雰囲気中で加熱し、吸収帯が消滅する速度を解析して酸素ガスがシリカガラス中に拡散する速度とこの欠陥の光吸収断面積を求めた。この研究成果は"Reaction Kinetics of oxygen-deficient centers with diffusing oxygen molecules in silica glass"としてJ.Non-Cryst.Solids誌に受理され印刷中である。2.結晶・非晶質を問わずイオン打込みは重要な表面改質の手段である。シリカガラスに各種イオンを打込み、酸素過剰型欠陥(≡Si-O-O-Si≡)と酸素不足型欠陥の生成濃度を等を測定し打込んだイオン種と母体との化学反応を統一したモデルで説明した。この研究成果はNuclear Inctrument and Physics Method B.誌に受理され印刷中である。3.シリカガラスをイオン化放射線で照射するとE'中心あるいは非架橋酸素に捕獲された正孔中心等が生成する。これ等の中心の生成量は、正常な結合の切断と、酸素不足/過剰型欠陥から生ずるものがあることを定量的に明らかにした。この成果はPhysical Reviewに発表した。4.還元した単結晶ルチルの低温および室温の電気伝導率を測定し、光吸収帯の強度との相関を調べた。両者が共にスモールポーラロンに起因するというBogomolovの理論に従う品種と理論から外れる品種があることを見出した。
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