研究課題/領域番号 |
04555193
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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研究分担者 |
仲里 正孝 (株)SLTジャパン, 技術課, 主任研究員
大工園 則雄 (株)SLTジャパン, 開発部門, 研究担当取締役
小林 正美 東京大学, 工学部, 助手 (70234846)
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キーワード | フェオフォーバイド / 増感色素 / 蛍光顕微鏡 / DNA / DNAの光切断 / 一重項酸素 / PDT / 活性酸素 |
研究概要 |
平成5年度は、より効率的なDNA光切断色素の開発と、色素の細胞内取り込み部位について詳細な研究を行った。 これまで我々は、クロロフィルの誘導体であるフェオフォーバイドaおよびbがDNAを効率よく光切断することを明らかにしてきた。これに加え最近、希土類金属が核酸を加水分解することを見いだした。しかし、光治療に応用するには、希土類そのままの状態では使用できない。そこで、様々な希土類錯体を合成して核酸の光切断を試みたところ、セリウムまたはランタンを中心金属に有する錯体が、光照射によって驚異的な切断効率を示すことを明らかにした。これは、可視光照射によって励起された配位子から中心金属である希土類にエネルギー移動が起こり、電子状態が変化した希土類が効率的に核酸を切断しているものと強く示唆される。 次に、これまでDNAの切断について詳細な検討を行ってきたフェオフォーバイドとキサンテン系色素について、細胞のどの部分に取り込まれるか蛍光顕微鏡を用いて考察した。その結果、フェオフォーバイドaのみが非常に速やかに細胞の核、ミトコンドリアおよびリソソームに取り込まれることが明らかとなった。しかも、各小器官からの蛍光は非常に強いことから、会合体ではなく単量体の形で取り込まれていることが判明した。赤い蛍光は、光照射によって速やかに減衰することから、細胞小器官内でフェオフォーバイドaが何らかの光化学反応を引き起こしていると推定される。核またはミトコンドリア内でDNAを光切断しているかどうかについては、現在検討中だが、ガンの光治療においてフェオフォーバイドaがガン細胞内の核酸をターゲットにしている可能性が極めて高いという重要な知見が得られた。
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