研究分担者 |
篠原 昭 ケイアイ化成(株), 研究開発部, 次長
浜崎 敞 鳥取大学, 農学部, 教授 (40032081)
中島 路可 鳥取大学, 工学部, 教授 (40025987)
早瀬 修一 鳥取大学, 工学部, 助手 (50238143)
撰 達夫 鳥取大学, 工学部, 助教授 (60032025)
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研究概要 |
2,6-ジメトキシフェニル基[2,6-(MeO)_2C_6H_3=Φと略記]を有する各種の有機ヘテロ元素化合物、例えば[Φ_3P-R]Xや[Φ_3P-SR]Xの各種合成法と基本的な化学的性質はすでにほぼ解明済である。 [Φ_3P-SeR]XもΦ_3P=Seとハロゲン化アルキルから容易に得られるが[Φ_3P-R]Xの副生が避けられない。 しかし、過剰のセレンの存在下、Φ_3P=Seとハロゲン化アルキルの反応により[Φ_3P-R]Xの副生をかなりの程度抑えることができることが判った。また、[Φ_3P-SeR]Xは[Φ_3P-SR]Xと性質がかなり異なり、アルカリ水や二塩化スズと反応してΦ_3PとジセレニドRSeSeRなどに分解すること、2,6-ジメトキシベンゼンチオールΦSHと反応してセレニルスルフィドΦSSeRと[Φ_3P-H]Xを生成することが判った。これらは有機セレン化合物の新規な合成法にもなると思われ、現在論文を投稿中である。 Φ_3P=Sの結晶解析を行ったところP=S結合距離(1.971A)はトリフェニルホスフィンスルフィドのP=S距離(1.950A)よりも長くなっていることが判った。2,6-ジメトキシ基の電子的効果により強く分極して二重結合性が減少してると予想され、Φ_3P=Sの強求核性が良く理解される。 2,6-ジメトキシフェニル基を有するトリアリールメタノールArΦ_2COH[Ar=Φ,2-MeOC_6H_4,Ph]やPh_2ΦCOHを合成したところ、ArΦ_2COHは2-プロパノール中、小過剰の酸によりカルベニウム塩[ArΦ_2C]Xを容易に生成することが判った。さらに、[ArΦ_2C]Xはメタノールや1級アルコール中でトリアリールメタンArΦ_2CHに還元され、アルコールをアルデヒドに酸化することが判った。 その反応速度はAr=Phが最も早く、エタノールがメタノールや2-プロパノールより早かった。 [Φ_3P-SR]Xはその化学的性質からの予想通り優れた生物活性を示すが、[Φ_3P-R]Xにも予想に反し、それらに匹敵する、あるいはそれ以上の活性が見られた。現在さらに活性テストの対象化合物範囲を広げるベく種々の2,6-ジメトキシフェニル誘導体の合成を行っている。最近、ある世界的な農薬会社と実用に向けてさらに現場テストを行う試料提供の契約を結ぶことになった(H5年7月に契約書を交換)。守秘義務が付帯されているのでその結果の詳細は今回は省略する。
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