研究概要 |
ポリ[p-(ジシラニレン)フェニレン]は感光性でフォトレジスト材料として利用可能であることを報告している。本研究ではこのポリマーの感光性機能発現のメカニズムを解明する目的でそのモデル化合物としてp-(ペンタメチルジシラニル)トリメチルシリルベンゼン(1)およびp-ビス(マ-フェニルテトラメチルジシラニル)ベンゼン(2)を合成しその光反応を詳細に検討した。1の光反応ではジシラニルユニットからベンゼン環への1.3-トリメチルシリル基転位によって生成するシレンの二重化が起った。よりポリマーに近いモデル化合物である2の光反応からはシレンの生成は進行したが二量化はおこらなかった。又、その他にSi-Si結合の均一解裂によるシリルラジカルの生成とその不均化およびジシラニルユニットからのシリレンの脱離が認められた。これらの結果は本ポリマーの光感応性がSi-Si結合の解裂に基づくことを示している。 新しいタイプの有機ケイ素ポリマーとして各種の置換基を有するポリ[(シリレン)エンイン](3),ポリ[(ジシラニレン)エンイン](4),ポリ[(ジシラニレン)エチニレン](5),ポリ[(シリレン)ジチエニレン](6),ポリ[(ジシラニレン)ジチエニレン](7),ポリ[(トリシラニレン)ジチエニレン](8)を合成することに成功した。又,これらのポリマーの光反応性を検討したところ4,5は良好な感光性を有し.紫外光照射によって低分子量化することが明らかとなった。同じタイプのポリマーでもSi-Si結合を有さない3は全く感光性を有さず光感応性機能発現にはSi-Si結合の存在が不可欠であることがわかった。又,ポリマー6-8はほとんど感光性を示さなかった。ポリマーモデル化合物としてビス(ベニタメチルジシラニル)ジチオフェンを合成してその光反応を行ったところ全く感光性を示さなかった。
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