研究概要 |
本年度は以下の三点について明らかにした。 【.encircled1.】シクロヘキサノンと種々の脂肪族アルデヒドを触媒量のジルコノセンジクロライド(Cp_2ZrCl_2)を150℃・8時間反応させると収率よく2,6-ジアルキリフェノール(DAP)が生成するが、触媒の調製と経済性に問題があるため、Cp_2ZrCl_2以外の良好なZr触媒の探索を目的として種々検討した結果、ZrOCl_2が良好に本反応を促進することが明らかとなった。これまで本合成反応における最大の課題であった触媒の調製と経済性の問題が、この発見によりひとまず解決することができた。また、本方法論を脂肪族ケトンとalpha,beta-不飽和ケトンとの反応に拡張することにより比較的良好にポリアルキル置換シクロペンテノン誘導体に導くことができ、シクロペンテノン誘導体の新しい合成法を提供することができた。 【.encircled2.】アルキル置換シクロヘキサノンの環化三量化反応の検討を行い、置換基の種類と位置によって環化が著しく支配されることを明らかにした。 【.encircled3.】一方、1,3-シクロペンタジエノンを出発物質として合成したプロスタグランジンB_1(PGB_1)類縁体の生物活性の評価を行うとともに、合成過程のうち特に収率と経済性に問題がある合成ルートの改善を加えた。また、短工程でのPGB_1の合成ルートり探索を目的として検討を行い、いくつかのPGB_1類のにたいしてはほぼ所期の目的を達成することができた。さらに、不斉補助基を脱離基とする置換型不斉誘導反応羽を行い、高不斉収率・高化学収率で光学活性エキソメチルケトンの合成を達成することができた。
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