研究概要 |
1.膜型酵素反応器を用いる乳酸脱水素酵素(LDH)とグルコース脱水素酵素(GDH)の共役反応に対するポリエチレンイミン(PEI)添加効果小型中空糸限外ろ過膜モジュールのシェル側にLDHとGDH(PEI添加または無添加)の溶液を循環させ,同じシェル側にフェニルピルビン酸(PP),グルコース(Glc),NADH溶液を連続的に供給する濾過方式によるPPからフェニル乳酸(PL)への連続生産を行った.PEI添加により反応率は著しく向上し,膜反応器における本酵素系でのPEI添加効果の有用性が確認された. 2.アルコール脱水素酵素(ADH)の反応特性に対するPEI添加効果pH7前後でのADH反応において,NADからNADHへの再生の反応率は,PEIの添加により著しく増加した.これは,ADH-PEI複合体近傍から静電相互作用によりプロトンが排除されてADH反応の平衡がNADH生成側へシフトしたためと推論した.よって,PEI添加はADHを用いるNADH再生に有用であることが判明した. 3.LDH,ADH共役反応に対するPEI添加効果LDH,ADH共役反応において,NADHの濃度が低いとき,PEI無添加ではPPからPLへの反応は途中で停止した.しかし,PEI添加により反応は完全に進行し,反応速度も著しく増加した.PEI添加は,速度促進,補酵素のリサイクル数の向上のみならず,補酵素の安定化にも寄与すると推論した. 4.低温プラズマを用いる高分子膜への酵素の固定化低温プラズマを用いる固定化酵素膜の作製の基礎として,プラズマによる高分子膜へのグラフト重合実験を行い,グラフト率に対するプラズマ出力,照射時間,アクリル系モノマーの種類,濃度,グラフト重合時間などの影響を実験的に検討した.
|