1)実容積600mlの流動床型リアクターに担体として水洗した120gクリストバライトを入れ反応温度を30℃として、IN塩酸によりpHを7に制御しながら、炭素源としてプロピオン酸ナトリウム、窒素源として過剰量の硝酸カリウムを含有する合成廃水を用いて、活性汚泥を馴養したところ廃水滞留時間(HRT)20時間にて有機酸(VFA)は完全に除去され90%以上のTOC除去率が得られた。今後は、さらにHRTの短縮を検討するとともに、プロピオン酸と硝酸イオンとの最適な比率についても検討する。 2)実容積400mlの曝気槽に活性汚泥を入れ硫酸アンモニウムと無機塩のみを含有する合成廃水を用いて反応温度を30℃として硝化菌を馴養した。また、0.5M-NaHCO_3を添加することで槽内phを7で制御したところ、アンモニウムイオンの減少量と重炭酸イオンの添加量は一定の比率で推移した。今後は、馴養した汚驚を流動床と固定床の両者にて固定化し、硝化反応速度を比較する。 3)以上の結果より、脱窒槽及び硝化槽のpH制御方法についての目処が得られたので、脱窒反応における最小のHRT及び最適な硝化反応条件が決定された時点で、脱窒槽と硝化槽を連結し、硝化反応液を脱窒槽に返送するシステムを構築し、これによりプロピオン酸、硫酸アンモニウム及び無機塩から成る合成廃水を用いて連続処理を実施する。 4)pH調整のための脱窒槽における酸添加量ならびに硝化槽におけるアルカリ添加量は、実廃水を対象とした場合、脱窒処理水のメタン発酵槽への返送や、硝化槽への重炭酸イオンの流入などにより、かなり緩和されることが示唆された。
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