研究課題
本年度は研究の開始年であるので、主に実験手法を統一するために、試料の採取法、調整法、測定法などを基準化すること、ならびに対象器官ないしは部位を決定するために、試料の調整法と分析の条件についてさまざまな検討を行った。なおトマトについては、品種間差を検討するために、大果日本系、同欧州系、小果日本系それぞれ数種を供試して比較した。その結果、(1)汁液中無機要素濃度の日変化は少ないので、試料の採取についは時刻への厳密な配慮は不要であること、(2)汁液抽出後に重金属元素の沈殿を防ぐため、抽出後直ちに抽出液に少量の塩酸を添加して酸性にする必要があること、(3)試料は採取後3〜4日間であれば常温でも汁液中無機要素濃度は安定であること、(4)葉柄と水を1:3で混合して汁液抽出液とすると、この中の微量要素の濃度はかなり低く、原子吸光法による分析では精度があまり高くないこと、(5)イオンクロマトグラムを利用した分析では、抽出液の精製に手間がかかること、陰イオンの中ではPの分析が不調であること、などが理解された。またトマトの葉と葉柄を比べると、(1)汁液中の無機要素濃度はかなり異なり、(2)培養液中の無機要素濃度の変化に敏感に反応するするのは葉柄のほうであることがわかった。さらに、部位別に葉柄の汁液中無機要素濃度を分析したところ、元素によって部位別の濃度がかなり異なり、NO_3、Ca、Mgなどは上部で濃度が低く、下部で高くなるが、Kは部位別の濃度差が少ないことなどがわかった。トマトの品種間差は、それぞれのグルーブ内では小さかったものの、グループ間では有意であった。
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