研究概要 |
1.昭和54年から58年にかけて自家和合性ニホンナシ品種‘おさ二十世紀'の自殖および交雑を行い,それらの自殖第1代と交雑第1代の系統より自家和合性で黒斑病抵抗性を有しかつ果実品質の優れた系統を選抜した。これらの有望系統を附属農場果樹園および鳥取県下各地の二十世紀園に高接し,生育特性と果実品質を調査した。いずれの系統も黒斑病に完全な抵抗性を示し,かつ自家結実した。また花芽の着生も良好であった。 2.有望系統の花粉を採取し,既知の自家不和合性因子をもつ長十郎(S_2S_3),二十世紀(S_2S_4),幸水(S_4S_5)にそれぞれ授粉して結実率と種子含有数を調査し,各系統の自家和合性要因を推定した。 3.有望系統を品種として登録し,苗木増殖を行う場合に,盗難や違法な手段でこれらが他産地や外国へ流出するのを防止する必要がある。その手段としてナシ品種・系統に対するDNAフィンガープリント法の開発を行った。M13ファージ由来遺伝子及びヒトミオグロビン由来のミニサテライト領域遺伝子をプローブとして用いたゲノミックサザンハイブリダイゼイションを行うことによる品種・系統の同定,識別技術を確立した。 4.有望系統を茎頂培養し,大量の自根苗を得た。さらにこれらを熱処理して再び茎頂培養してウイルスフリーの原々母樹を育成中である。
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