研究概要 |
1.自家和合性ニホンナシ‘おさ二十世紀'を母本または父本として得た自家和合性と黒斑病抵抗性を有する優良に交雑系統5系統について,鳥取県下各地で栽培適応性の調査を行った。TH17は糖度が高く肉質もきわめて良好であり,さらに県下のどの地域でも収量と品質が安定しており,鳥取県に適した品種であると判断された。晩生のTH17およびTH11もすぐれていた。 2.開花期の温度条件と自家結実率との関係を調査したところ,15℃以上の温度があれば充分に受精・結実することが明らかとなった。 3.各系統の識別を容易にし,また品種育成権の保護のため,DNAフィンガープリント法の開発を行なった。ニホンナシのプローブrbcSのCDNを用いたRFLP分析によって,各優良系統に特有のフィンガープリントを得た。さらに各系統の葉についてペルオキシダーゼアイソザイム分析も行ない,各系統を識別・同定しうる泳動像を得た。 4.優良系統はいずれも自家和合性であるため,人工受粉の必要がないが,それらの花粉は‘二十世紀'や‘幸水'の人工受粉に使用したり授粉樹として混植する場合もあるため,各系統の不和合性因子の型を明らかにしておくことが必要である。‘二十世紀'‘幸水'‘清澄'に交雑して調査した結果,TH17はS_4S_5 TH32はS_2S_4であることが明かになった。
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