研究課題/領域番号 |
04556011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石崎 文彬 九州大学, 農学部, 教授 (20183163)
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研究分担者 |
河野 武治 西部ガス, 総合研究所, 研究員
山田 茂 西部ガス, 総合研究所, 課長
金丸 利壽 西部ガス, 総合研究所, 所長
田中 賢二 九州大学, 農学部, 助手 (20236582)
殿川 道夫 九州大学, 農学部, 助手 (60038213)
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キーワード | 炭酸ガス / ポリヒドロキシ酪酸 / PHB / 生分解性プラスチック / バイオリアクター / 水素酸化細菌 / 二段培養 / 独立栄養的反応 |
研究概要 |
水素酸化細菌Alcaligenes eutrophusは増殖速度が非常に大きいので、生産性が高くなり工業化には有利である。本菌は、酸素の供給が不足すると、菌体増殖のためのタンパク合成を止め、炭酸ガスからエネルギー貯蔵物質であるポリヒドロキシ酪酸(PHB)を合成するので、この菌で炭酸ガスからPHBを工業生産する技術開発が可能である。この菌の増殖に必要な基質ガスのモル比はガス爆発範囲を避けられないが、PHB蓄積には供給ガスの酸素濃度を低くする必要があるので、ガスのモル比を爆発範囲外にすることができる。そこで、炭水化物を炭素源として菌を増殖させ(従属栄養的増殖)、つぎに、爆発範囲外にある水素、酸素、炭酸ガスの混合気を用いて(独立栄養的生合成)菌体内にPHBを蓄積させる2段培養を開発することを目的とする。 フルクトーズ培地で本菌を増殖させた後、培地を無機培地に入れ替えて酸素制限独立栄養的培養を行なったところ約45時間の回分培養で30g/lの菌体に約20g/lのPHBを蓄積した。そこで200mlのミニジャーを菌体増殖に、ハリオBO-15(気泡塔型)リアクターをPHB生合成に用い、これら2つの培養を連結し連続培養を行なった。菌体増殖を希釈率D=0.1h^<-1>で連続培養し、その菌体を含む培養液を水素、酸素、炭酸ガス85:5:10の混合ガスを循環しているリアクター(K_2a=100h^<-1>)に送り、D=0.01h^<-1>で連続培養し、両者の同調培養が可能かどうかを調べた。連結した両者を連続培養でき、定常状態を形成できた。フルクトーズ濃度10g/lで増殖槽の菌体濃度3g/l、リアクターの菌体濃度5g/l PHB濃度3g/lであった。従って、従属栄養的菌体増殖発酵槽と独立栄養的PHB合成リアクタを連結し、両者を連続培養で同調できことが確かめられた。しかし、菌体濃度、PHB濃度共に低く、今後培養工学的アプローチでシステムの至適化を図らなければならない。
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