研究分担者 |
野間 浩一 西部ガス, 総合研究所, 研究員
山田 茂 西部ガス, 総合研究所, 課長
金丸 利壽 西部ガス, 総合研究所, 所長
田中 賢二 九州大学, 農学部, 助手 (20236582)
殿川 道夫 九州大学, 農学部, 助手 (60038213)
|
研究概要 |
水素酸化細菌A・eutrophusを用いてCO_2からPHBを生産するにはH_2の爆発を防ぐために気相のO_2濃度を6.9%以下に抑えなければならない。気泡塔を用いた2段階バイオリアクタ-による連続培養はこれを可能にしたが,生産性が低いなど改善の必要性が示された。そこで,本年度は本培養法の最適化を目的としてリアクタ-の性能評価と改良,および培養系における溶存ガスの挙動が増殖やPHB蓄積に与える影響について研究を行った。 高いPHB生産性が得られなかったのは,気泡塔の酸素移動容量係数が低い(KLa=100h^<-1>)ことが原因であった。実際,2970h^<-1>のKLaを有する発酵槽を用いると,6%の気相O_2濃度条件下でも5.0g・dm^<-3>・h^<-1>という高い生産速度でPHBが蓄積した。気泡塔KLaの決定因子は気泡の大きさや密度,流動状態,移動の際の線速度であり,リアクタ-のL/D(高さと直径)比やエア-スパ-ジャ-の孔径,ドラフトチュ-ブ形状の改善によりKLaが向上することが実験結果より示された。 現在開発中の気泡塔は1,000h^<-1>以上のKLaを期待できるので,かなり高い生産性での培養が可能と思われる。また,溶存水素濃度を正確に測定できる小型膜電極を開発し,本菌の臨界水素圧,水素要求性および水素のKLaなどを決定し,さらに水素の不足が増殖やPHBの蓄積を著しく阻害することを明らかにした。得られた情報はプロセスを設計・制御する際の指針として大いに役立つことが期待される。 また,本研究を行う過程で従来にない画期的なPHB生産法を新たに開発した。これは本菌と我々が独自に分離した乳酸菌を併用する培養法であり,植物バイオマス廃棄物の加水分解物から効率よくPHBを生産できるので,森林資源の有効利用という点からCO_2問題への貢献が期待される。
|