研究課題/領域番号 |
04556013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩村 俶 京都大学, 農学部, 教授 (30026570)
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研究分担者 |
平井 伸博 京都大学, 農学部, 助手 (00165151)
吉川 正己 京都府農業総合研究所, 技師
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キーワード | アスパラガス / Pseudomonas putida / 株腐病 / 括抗細菌 / 植物生長促進 |
研究概要 |
土壌病害菌の働きを抑制する括抗菌が存在することは古くから知られていた。近年、これらの括抗菌が植吾の生長をも促進するという例が報告されるようになってきた。本研究者らはアスパラガス根圏よりその株腐病を抑制する括抗菌Psudomonas putida RSA9を分離し、その接種がアスパラガス苗の根の生長を促進することを見いだした。本研究は、それが物質であることを確証するとともに、それを健苗育成に利用することを目的として行なった。 (1)菌体接種と培養ろ液による効果の比較:菌体を除去した培養ろ液に苗の根部を浸漬するだけでも効果があることは、すでに明らかにしてある。そこで、その効果が菌体接種と同等であるか否かをポット試験で比較した。その結果、双方とも6週間苗の根の生長を約140%促進した。 (2)熱処理、pH変化などの影響の検討:培養ろ液の活性は100度で10分加熱しても、pHを変化させても失われなかった。これより、活性本体は熱およびpH変化によって変性しない低分子物質であることが示唆された。 (3)培養ろ液の分画:培養ろ液中の養分は雑菌の繁殖を助長する可能性がある。そこで培養ろ液より活性成分の抽出を試みた結果、活性は酸性画分に転溶されしかも原液中濃度の1/10で約140%の促進活性を示した。 (4)酸性画分の精製:酸性画分をODSカラム(溶出:0.1%AcOH:H_2O:0-100%MeOH)でさらに分画した結果、活性は10%MeOHで溶出されることがわかった。 括抗菌の畑地での利用は、菌相の変化や気候等の環境要因の影響を受けその効果が一定でない。以上の結果は、培養ろ液の抽出物を用いた、一定環境下での健苗育成に有効に利用できることを示した。
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