研究課題/領域番号 |
04556014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 順一 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
加藤 博章 京都大学, 化学研究所, 助手 (90204487)
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助手 (80199075)
西岡 孝明 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80026559)
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キーワード | リパーゼ / 封入体 / リパーゼ活性化因子 / シャペロン / Catalytic triad / 融合タンパク質 |
研究概要 |
本年度の研究により、以下のような成果及び知見が得られた。 1.Pseudomonas属由来リパーゼ活性化因子の発現系の構築。昨年度の研究により明らかとした、リパーゼの発現に必須なリパーゼ活性化因子(LipB)の大腸菌中での発現を試みた。LipBをグルタチオントランスフェラーゼとの融合タンパク質(GST-LipB)として発現させる系を構築し、大腸菌中での発現に成功した。発現した融合タンパク質は封入体を形成したリパーゼの巻き戻しを触媒し、リパーゼを活性化させた。GST-LipBのうち、LipB部分が活性化に必要であることを、GST単独、トロンビンにより融合部位で切断したGST-LipB、トロンビン単独のリパーゼ活性化活性を観察することで確認した。このLipBによる活性化にはMgイオンやATPを要求しないことなどから、LipBがシャペロンなどとは異なった活性化機構を持つことが示唆された。 2.Pseudomonas属リパーゼの活性残基の同定。リパーゼの反応には一般にcatalytic triadと呼ばれるSer-His-Aspの3残基が空間的に近接して配置された構造が触媒すると考えられている。Pseudomonaリパーゼの一次配列構造を他の生物種由来のリパーゼと比較し、LipA中に保存されたSer-82、His-251、Asp-209を見いだした。これらの残基をGlyまたはAlaに置換した遺伝子を作製し、大腸菌中で発現させたところ、野生型と同様の発現量が認められた。しかし、これらの変異型酵素は野生型と異なり、リパーゼ活性を全く示さなかったことから、これらの残基が活性に深く関与していることが示された。 これらの成果は、リパーゼをタンパク質工学的に改変し、大腸菌内で大量発現させることで工業的規模のリパーゼの利用を可能とするための重要な成果である。
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