研究課題/領域番号 |
04556015
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
製造化学・食品
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
馬場 直道 岡山大学, 農学部, 教授 (50027075)
|
研究分担者 |
清水 昌 京都大学, 農学部, 教授 (70093250)
松尾 光芳 東京都老人総合研究所, 老化科学技術研究系, 部長 (20072986)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | リン脂質過酸化物 / ホスファチジルコリン過酸化物 / ホスファチジルエタノールアミン過酸化物 / ホスファチジルグリセロール過酸化物 / ホスファチジルセリン過酸化物 / 血管内皮細胞 / hydroperoxide, toxicity of / phospholipid hydroperoxide, synthesis of |
研究概要 |
平成4年度は、不飽和脂肪酸の大豆リポキシゲナーゼを用いる大容量過酸化反応の条件を検討し、その結果、ホウ酸緩衝液(pH 9)中、酵素200mgを用いて0℃、6時間の反応で過酸化物を4〜5g得ることができた。また、リパーゼによる光学活性Lyso-PCの短経路合成を確立した。研究分担者の清水氏により、醗酵法で生産されたアラキドン酸の精製は、シリカゲルカラムで大容量精製をすることができた。OOH基の安定はBHTの存在下、溶液として-20℃で安定であった。以上の基礎実験に基づいて、過酸化リン脂質の一つPC-OOHを合成することができた。一方、この過酸化物の培養血管内皮細胞に対する毒性実験が研究分担者の松尾氏によって始められた。平成5年度では、PC-OOHの大量合成を実施し、このものからPLD触媒により、PE-OOH、PG-OOH、PS-OOHの合成にも成功した。一方、ミクロエマルジョン系におけるPLA_2の逆触媒によるPI-OOHの合成をスタートした。また、血管内皮細胞への毒性試験が松尾氏によって続行された。平成6年度に入り、計画に従って、ドコサヘキサエン酸(DHA)から誘導される過酸化リン脂質の合成を始めたが、まず、DHAはこれまでのリノール酸やアラキドン酸と異なり、ジアゾメタンによる温和なエステル化反応が全く進行しないという問題に直面した。DCC法やメタノール塩酸法は、OOH基を分解するため、用いることができない。イコサペンタエン酸についても同様の問題が起こることが十分予想される。従って、この問題は現在、なお、検討中である。一方、前年度スタートしたPLA_2の逆触媒作用によるPI-OOHの合成に関しては、その土台となるLyso-PGのアシル化反応によるPGの合成に成功したので、現在、その先を進めている。また、松尾氏により、本研究で合成したリン脂質過酸化物は、予想に反し、興味あることに血管内皮細胞に対してほとんど毒性を示さないことが初めて明らかにされた。
|