研究課題/領域番号 |
04556020
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 助教授 (60126026)
|
研究分担者 |
守谷 孝志 小糸工業株式会社, 機電事業部, 係長
半田 繁 小糸工業株式会社, 機電事業部, 副課長
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
キーワード | 蒸発散 / 生態・生理 / 水ストレス / 半乾燥地 / 緑化 / CO_2固定 / 温暖化 / 野外で使用する器機開発 |
研究概要 |
本研究は半乾燥地に防風・防砂林として植栽された樹木および植栽地の地表面を含めた水分経済を定量的に評価し、併せて望ましい植林管理・潅水法を明らかにする場合に必要な測定機器を試作し、その実用化を目指している。二年次にわたる研究期間に以下の項目を達成する。 (1)自然に近い状態のまま地表面からの水蒸気フラックスが測定できる測定器を試作すること。 (2)能率良いデータ収録ソフトを開発すること。(3)(1)と(2)の成果をふまえて実用性を確かめる。 初年度には、試作器の基本的仕様の決定を行った。すなわち、チェンバーの寸法、通気流量、露点制御範囲、露点センサーの機種および使用台数の決定など。また、試験運転の条件および計測ソフトウエアの測定項目、計算項目などの決定。露点センサーはドイツ製ハインツ・ワルツ社製を導入。地表面温度も熱電対で測定する。別途費用によって、土壤水分センサーの入手が可能になった。露点センサーの入手に手間取り、試作器の納品が平成5年2月初旬にずれ込んだ。したがって、動作実験は限定された条件下の室内実験に留まった。しかしながら、一定の負荷条件の下、測定器の基本仕様のチェックを完了できた。 最終年度には、海外での研究プロジェクト(アラブ首長国連邦)において実用化試験を行う予定であったが、時間と経費的な制約から静岡大学農学部付属乾燥地農業実験実習施設内のガラス温室において試験を行った。材料として、1/2000aのワグネルポットに植栽されたソルガム(Sorghum bicolor Moench)を用いた。測定装置として、地表面蒸発散測定システムばかりでなく、(1)光合成速度、(2)葉の水ストレス、(3)土壌含水比などを用いた。測定は8月4日から12月14日までのべ50日間行った。 実験中は気温45℃以上で相対湿度25%で、現地で予想される砂塵等の問題を除けば半乾燥地の気象条件と同等であると考えられる。このような条件で測定システムが正常に機能することが確かめられた。地表面からの蒸発速度の最大値は1.1mmであった。なおアラブ首長国連邦の自由水面における蒸発速度は9月中旬でおよそ0.7mm、12月下旬でおよそ0.4mmが記録されている。したがって測定能力も十分余裕があると考えられる。以上の結果から、結論として半乾燥地における地表面蒸発散に関するデータ収集が可能であるとの見通しを得た。現地での測定に際してはまだ未知の部分も多いが、機会を待って実施していきたいと考えている。
|