研究課題/領域番号 |
04556022
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石津 敦 東京大学, 農学部, 教授 (40014922)
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研究分担者 |
八代 洵 山陽国策パルプ(株), 商品開発研究所, 主任研究員
飯塚 尭介 東京大学, 農学部, 助教授 (30012074)
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キーワード | セルロース / スルホン酸 / ウィルス / 鶏肉腫 |
研究概要 |
セルロースおよびヒドロキシエチルセルロースのスルホン酸の合成法として当初予定したのは、各々のセルロースの部分アセチル化物にエピスルフィドを作用させてメルカプトエチル化物を作り、これを過マンガン酸カリで酸化し、次いでアルカリで鹸化することにより目的物を得ようとするものであった。しかし、第一段のメルカプトメチル基の導入量が置換度として、0.01にも達しなかった。次に、まずセルロースのアリル誘導体をつくり、これに酸化剤の存在下、酸性亜硫酸ソーダを作用させるいわゆるラジカルスルホン化を試みたが、この場合も置換度が低く、水溶性の目的物は得られなかった。 第3の方法として、セルロースのトシル化物を作り、トシル基の酸性亜硫酸イオンによる置換によってスルホン酸基を導入することを試みた。トシル化における置換度は条件によって容易に1.0にすることができた。しかし、トシル基が多く入るとセルロースは疎水性になり、次のスルホン化反応が起こり憎くなった。他方、導入量が少ないとスルホン酸基の導入量も当然少なくなり、結果的にその置換度は0.1どまりで水に不溶であった。 さらに他の方法として、sodium 2-bromoethyl sulfonateとpropane sultoneをそれぞれアルカリセルロースに作用させる方法を試み、置換度が0.19のスルホエチルセルロースと置換度が0.53のスルホプロピルセルロースを調製出来た。前者は部分的に水溶性、後者は完全に水溶性であった。なお、効果の検定のための標準として、エイズに対して効果ありと報告されている、グルコースを側鎖として有するセルロースの硫酸エステルの調製も行った。合成物の物性の検討と抗ウィルス効果の検定は、得られた水溶性の誘導体について、これから行う。
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