研究課題/領域番号 |
04556043
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉本 千尋 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (90231373)
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研究分担者 |
岡部 達二 微生物化学研究所(株), 主任研究員
高橋 清志 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (90048108)
小沼 操 北海道大学, 獣医学部, 教授 (70109510)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | DNAプローブ / PCR / 住血微生物 / 原虫 / ウシ |
研究概要 |
本研究は、高感度で特異性の高い家畜の住血微生物病診断法の開発を目的として、DNA診断法(DNAプローブ、PCR)の開発と実用化を目指した試験研究である。Theileria sergentiについては、2種の蛋白質(p32、Hsp70)をコードするの遺伝子をクローニングしてその全塩基配列をそれぞれ決定した。特に、p32遺伝子をDNAプローブとして、末梢血液中の原虫の高感度検出を可能にした。さらに、T.sergenti遺伝子多型もこのDNAプローブを用いて解析を行い、野外株での多型性を明らかにした。これに引き続き、p32遺伝子を標的としたPCR法を開発した。本法を多数の野外検体に応用した結果、感度、特異性とも十分であることが確認された。また、T.sergenti p32の複数の対立遺伝子(Allele)型を特異的に増幅できるPCR法も開発し、これにより実験継代株あるいは野外株中に複数の遺伝子型が混在していることを明らかにした。また、本法によって、牛における持続感染や牛・ダニ間での感染サイクル中で原虫集団の変換が起こることが明らかにされた。このように、本研究で開発されたDNAプローブおよびPCRによる原虫検出法は、特異性・感度の点で極めて優れているのみならず、原虫遺伝子型解析も可能とした。本法は小型ピロプラズマ病の診断のみならず、各種の分子疫学的研究にも使える方法で、将来のワクチン開発へ向けての基礎的研究、野外の実態調査に広く応用できる方法であろう。なお、本研究で開発されたPCR法は実用化の段階まで開発が進み、野外での小型ピロプラズマ感染症の高感度診断法として普及しつつある。
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