伴侶動物及び家禽用の多価リコンビナントワクチンの開発

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04556044
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
• 研究分担者: 平井 莞二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00100991) ; 平井 克哉 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021702) ; 遠矢 幸伸 東京大学, 農学部, 助手 (20180119) ; 土屋 耕太郎 日本生物科学研究所, 研究員 (70207405) ; 甲斐 知恵子 東京大学, 農学部, 助教授 (10167330)
• キーワード: リコンビナントワクチン / ベクターウイルス / FHV-1gB / FHV-1gD / リン酸化蛋白 / MDV-2 / TK遺伝子欠損株

研究概要

本研究は鶏や犬猫に対する安全性、経済性、有効性全てに優れる多価リコンビナント生ワクチンを開発・実用化することを最終目的とし、本年度は感染防御にかかわる有用ウイルス遺伝子の性状解析、多価ワクチン用のベクターウイルスの作出及び腫瘍免疫に重要と考えられているリン酸化蛋白を検討し、以下の成績が得られた。
1)ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)感染ネコにおいて、液性・細胞性免疫を誘発し、ウイルスに対する防御免疫に重要と考えられているFHV-1糖蛋白gBとgD発現プラスミドDNAを作製し、マウスにそれぞれ接種したところ、マウスはgBならびにgDに対する特異抗体を産生した。この結果、FHV-1gB及びgDのサブユニットワクチンとしての可能性が示唆された。
FHV-1のチミジンキナーゼ(TK)遺伝子欠損株を作出し、そのIn vitroの性状を親株と比較したところ、TK欠損株に特異的なマーカーを有しており、多価ワクチンにおけるウイルスベクターとしての応用できる可能性が示唆された。
マレック病ウイルス血清1型(MDV-1)のリン酸化蛋白(pp38)相同蛋白と部分的に相同な蛋白をコードするORFがマレック病のワクチン株であるMDV-2ゲノム上に存在し、その蛋白に対する抗体がワクチン接種鶏の血清中に存在することを明かにした。

研究成果

• [文献書誌] Kamiya,N.et al.: "Protective effect of individual glycoproteins of Newcastle disease virus expressed in insect cells:the fusion protein derived from an avirulent strain had lower protective efficacy." Virus Res.32. 373-379 (1994)
• [文献書誌] Kohmoto,M.et al.: "Comparison of biological properties of feline immunodeficiency virus isolates using recombinant chimeric viruses." J.Gen.Virol.75. 1935-1942 (1994)
• [文献書誌] Maeda,K.et al.: "A gD homologous gene of feline herpesvirus type 1 encodes a hemagglutinin(gp60)." Virology. 202. 1034-1038 (1994)
• [文献書誌] Miyazawa,T.et al.: "The genome of feline immunodeficiency virus:Brief Review." Arch.Virol.134. 221-234 (1994)
• [文献書誌] Murakami,Y.et al.: "Characterization of Newcastle disease virus envelope glycoproteins expressed in insect cells." Virus Res.33. 123-137 (1994)
• [文献書誌] Ono,M.et al.: "Nucleotide sequence analysis of Marek's disease virus(MDV) serotype 2 homolog of MDV serotype 1 pp38,an antigen associated with transformed cells." Virology. 201. 142-146 (1994)