研究概要 |
1)神経放電記録用埋込み電極の改良:申請者らの開発したコラーゲン電極を改良し,成功率が約50%増加した。更に迷走神経及び大動脈神経へ応用することが可能となった。この電極は動きに伴う機械的ノイズが小さく筋電や心電図の混入も小さくS/N比が良くなった。 2)超小型テレメトリーシステムの開発:自律神経活動,心電図,筋電図血圧,血流などを計測し,送信出来るシステムを試作した。これをもとに現在も改良し,実用化をはかっている。 3)2チャンネル薬物注入テレメトリーシステムの開発:自由行動下の動物に任意に2種類の薬物を注入出来るシステムを試作した。これをもとに改良を重ね,実用化をはかっている。 4)動物実験によるシステムの評価と新しい研究成果:神経活動の新しい分析法を確立し,これを使用してまず麻酔下の交感神経活動について群放電の波高と周期性について詳細な分析とその生理学的意味について新しい神経性調節機構の概念を得た。波高は同時に興奮している神経線維の数を反映していることが明らかとなった。同期は心臓及び腎臓交感神経活動に共通の基本リズム(8〜12Hz)を有しており,心拍に同期した成分は血圧受容器からの脈圧に比例した求心活動に依存しているが明らかにされた。自由行動下では基本リズムの出現頻度の制御と興奮している神経数の制御,即ち周波数と空間的制御をしていることを示唆した。 迷走神経系による制御が心室や骨格筋でも行われる可能性について調べたが,自由行動下での心臓迷走神経活動の記録は極めて困難であった。記録が出来ない理由が,神経障害によるものか自由行動下では放電(緊張性)がすくないためか不明で残された問題となった。
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