研究課題/領域番号 |
04557010
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
阿部 陽一 香川医科大学, 医学部, 教授 (10047227)
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研究分担者 |
安岐 康晴 香川医科大学, 医学部, 助手 (50231816)
玉置 俊晃 香川医科大学, 医学部, 助教授 (80179879)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 微小透析法 / ファイバー型プローブ / 血漿交換用透析膜 / レニン / アンジオテンシンII / アデノシン / 腎臓 / 腎動脈圧低下 |
研究概要 |
市販の微小透析用プローブを直ちに肝臓、腎臓等の実質臓器に用いるには多くの問題点がある。そこで、1)組織損傷を抑えるために、プローブの直径を市販のプローブの1/3以下にする。2)透析潅流液の流速を高め、速い反応を観察する。3)拍動や呼吸性移動による組織障害をへらす。以上の目的に合致したファイバー型プローブを試作し、ファイバー型プローブの透析効率をin vitro、in vivoの系で検討を行った。 1)in vitroの実験:透析膜は、外径220μm、内径190μmのキュプロファンファイバー(分子量cut off point 5,500:Aファイバー)および血漿交換用に開発された限外濾過膜(Bファイバー)を選び、有効透析長を15mmとなるよう接続チューブを両端に挿入した。Aファイバーでは、10μ1/minの流速においても、アデノシン、クレアチニンの回収率は20%以上と良好であった。しかし、アンジオテンI、II(AI、II)の回収率は、5or10μl/minで、8.7%or4.4%と低い回収率しか得られなかった。Bファイバーを用いてもAI、IIの回収率は大きく上昇せず、5μl/minで10%程度であった。そこで、高い効率の得られたアデノシンに焦点を絞り、in vivoの実験系で腎間質液中のアデノシン動態の検討を行った。2)in vivo実験:ペントバルビタール麻酔イヌの腎皮膜除去後、Aファイバープローブを腎の長軸方向に刺入し、10μl/minの流速で潅流した。腎虚血時には、アデノシン濃度は2倍の増加を示した。一方、イノシンはその10倍、ヒポキサンチンは、100倍以上の増加を示した。そこで、アデノシンの動態をより正確につかむため、adenosine deaminase阻害剤(EHMA)およびadenosine kinase阻害剤(iodotubercidin)の注入実験を行った。EHMAでは100倍以上、一方、iodotubercidinで数倍の増加が観察された。これらの結果は、細胞から遊離されたアデノシンの大部分はadenosine deaminaseにより分解されるが、adenosine kinaseによる再利用は数%にとどまることが明らかになった。 本プローブは、市販のプローブに比べ外径が200μと細く、組織損傷を低く抑えることが可能で、また透析効果率が5〜10倍高いため、生体の速い反応をとらえることができる。腎でのアデノシン動態結果から解かるように、本法の有用性が明らかになり、今後多くの実質臓器に応用されるものと期待する。
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