研究課題/領域番号 |
04557011
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡山 博人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40111950)
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研究分担者 |
小野 泰子 大阪大学, 微生物病研究所, 教務員 (70194602)
永田 昭久 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (50155933)
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30156195)
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キーワード | 分裂酵母 / 異種間遺伝子相補 / 細胞周期 / wee1 / cdc25 / 相同組換え / G2期制御 |
研究概要 |
今年度は、次の二点に重点をおいて研究を進めた。動物細胞のG2期制御機構は、cdc2キナーゼを中心としてこの活性を制御する機構から構成されている。分裂酵母では、このキナーゼは、wee1と呼ばれるチロジンキナーゼとcdc25と呼ばれるフォスファターゼによって15番目のチロジン残基のリン酸化と脱リン酸化によって制御されている。我々は、動物細胞にも極めてよく似た遺伝子が存在し、cdc2キナーゼの制御に係わっていることを明らかにした。今年度は、分裂酵母の系を用いてwee1キナーゼの活性化因子と考えられるヒト遺伝子を単離した。この遺伝子は、wee1と同様にG2からM期にかけて発現し、分子量約10万の蛋白をコードする。蛋白のC末側に活性化活性を持つドメインがある。元の蛋白では、ほとんど活性を持たないことから、N末側にこの蛋白の制御ドメインがあると推測された。この制御因子は、これまでにその存在が知られていない新しい制御因子であることが判明し、G2期制御機構の解明に極めて重要な知見を与えるものと期待される。このように、分裂酵母変異株を宿主とした異種間相補クローニング系は極めてうまく働いているが、一方では、単にこれまでに存在する変異株のみでは哺乳動物の遺伝子を単離できるとは限らない。最近cdc25フォスファターゼの負の抑制因子が分裂酵母に存在することを見いだしたが、これに対応する哺乳動物の遺伝子を探すことは容易でない。そこで分裂酵母のcdc25遺伝子を哺乳動物のcdc25遺伝子と入れ替えた分裂酵母菌を作成した。現在、これを宿主として哺乳動物のcdc25フォスファターゼの制御因子の単離を進めている。このような試みがうまくいくと分裂酵母を生きた試験管と使用する方法論の確立に向かって大きく前進するものと期待される。
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