研究課題/領域番号 |
04557013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 國寛 京都大学, 医学部, 助教授 (00027070)
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研究分担者 |
徳島 恭雄 旭化成株式会社, 生科学研究所, 主査
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / 前駆体蛋白質 / mRNA / RPA / RT-PCR / 選択的スプライシング / 加齢 |
研究概要 |
3年継続研究の初年度として、以下の基礎的成果を得た。 1.アミロイド蛋白質の遺伝子発現解析法の確立ーβアミロイド前駆体蛋白質(APP)をコードする4つのmRNAサブタイプを解析する方法として、RPA(リボヌクレアーゼプロテクションアセイ)とRT-PCR(リバーストランスクリプターゼ-ポリメラーゼチェインリアクション)を比較検討し、それぞれの長短所を明らかにするとともに、両者を定量的に比較する条件を確立した。 2.アルツハイマー病におけるAPP遺伝子の発現異常の発見ーアルツハイマー病とその他の脳変性疾患の患者脳から分離したmRNAを用いて、APP遺伝子の発現(特にmRNAの選択的スプライシング)を解析した結果、種々の変性疾患中アルツハイマー病でのみ、プロテアーゼインヒビター(KPI)ドメインをもつmRNA2種が有意に増加することを見出した。 3.APP遺伝子発現の年齢的変化の発見ーKPIをもつタイプともたないタイプのAPPmRNAの脳内存性比が年齢とともに増増加する現象を見出した。また、この変化がアルツハイマー病の患者脳では、健常者(および他の疾患患者)脳より20-25年早く起きることを見出した。これはアルツハイマー病と生理的加齢に伴う老年期痴呆をつなぐメカニズムとも考えられ、APPmRNAサブタイプの解析が脳老化の分子的指標になる可能性を指摘した。 4.アルツハイマー病患者の脳脊髄液中におけるKPI型APP増量の発見ーKPIドメインをもつタイプのAPPの脳脊髄液中濃度をELISAを用いて解析した結果、アルツハイマー病で健常者あるいは血管性痴呆患者に比し有意に増加していることを見出した。
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