研究課題/領域番号 |
04557014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00162694)
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研究分担者 |
熊谷 俊一 京都大学, 医療短期大学部, 教授 (00153346)
鍔田 武志 京都大学, 医学部, 助教授 (80197756)
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キーワード | 遺伝子導入マウス / CD5陽性B(B-1)細胞 / 自己免疫病 / 溶血性貧血 / 腹腔B細胞 / 消化管免疫 / LPS / プログラム細胞死 |
研究概要 |
本年度は、まず抗赤血球自己抗体の遺伝子を導入したマウスを用い、腹腔内の成熟B細胞が抗原に反応してプログラム死を起こすことを見い出した。同じ現象は正常マウスの腹腔B細胞においてもその表面免疫グロブリン(sIg)を抗Ig抗体でクロスリンクすることにより観察された。このようにin vivoでのIgを介するプログラム死を誘導する系は我々が世界に先駆けて確立したものである。一方、NZB、B/WF1等の自己免疫モデルマウスではプログラム死が認められずむしろ活性化されることを見い出した。この結果はプログラム死に対する抵抗性が自己反応性リンパ球の生体内での生成及び活性化の原因である可能性が高いことを示している。次に我々は正常マウスと自己免疫マウスでのリンパ球のbcl-2遺伝子の発現量の差を検討したが、両者には有意な差は認められなかった。 一般にBリンパ球には通常のB細胞と、より原始的で発生学的にも未熟なB-1細胞の2系統のリンパ球が存在する。B-1細胞は正常マウスにおいては主として腹腔に存在するが、自己免疫マウスにおいては脾臓等の末梢リンパ臓器にも多く存在することが知られている。今回我々はこのB-1細胞が消化管の一部にも数多く存在することを見い出した。さらに、腹腔と消化管のB-1細胞が共通のプールを形成し、これがB-1細胞の源となっていることを発見した。 加えて未発表ながら、腹腔のB-1細胞を生下時より完全に除去することによってNZBやB/WFの自己免疫マウスの症状を軽減させることにも成功した。これらの成果により、自己反応性B細胞を制御し、自己免疫病を治療する新たな道筋を見いだすことができたと考える。
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