研究課題/領域番号 |
04557018
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
小川 勝洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50045514)
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研究分担者 |
斉藤 義徳 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70241429)
太田 知明 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50233135)
西川 祐司 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90208166)
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キーワード | PCR / GC clamp / DGGE / ras遺伝子 / p53遺伝子 / パラフィンブロック / ヒト腫瘍 / 点突然変異 |
研究概要 |
GC-clamped DGGEにより、病理組織切片から実体顕微鏡下でくり抜いた組織中の癌関連遺伝子の異常を検出する方法を確立した。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)ヒト胆管癌、胆のう癌についてK-ras遺伝子exon 1のmutationを検索した。陽性コントロールとしてK-ras codon 12のmutationをhomoにもつA549細胞のDNAを用い、これに正常ヒトDNAを加えて様々の程度に希釈したところ、正常DNA 16に対して、異常DNA 1の割合に存在する場合でもmutationは検出可能であった。ヒト胆道癌では約60%にK-ras codon 12のmutationが検出され、その変異はglycineからserineへの変化の頻度が高かった。 (2)ヒトのう胞性膵癌と通常型膵癌についてp53とK-ras codon 12のmutationの頻度を比較した。K-ras codon 12の変異は両タイプの膵癌でほぼ100%に検出されたが、p53の変異は通常型膵癌にのみ検出され、のう胞型膵癌には16例中全く検出されなかった。また、膵癌のp53変異はexon 8に特に多く見られた。 (3)化学発癌剤で誘発したラット肝腫瘍及びラット肝細胞株についてp53,K-ras codon 12の変異を調べた。p53の変異は肝細胞株では高頻度に見られたが、腫瘍組織では全く検出できなかった。したがって、このmutationは培養条件下で生じた変化と考えられた。一方、K-ras codon 12のmutationは頻度は低かったが、3'-Me-DABまたはaflatoxin B1で誘発した腫瘍でやや多く見られ、発癌剤の種類により頻度が異なることが示唆された。 (4)化学発癌剤でラットに誘発した乳癌についてp53の変異を検討したところ、変異は全く検出されなかった。この点はヒト乳癌と異なり、発癌の分子機構の違いが示唆された。
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